やられたぜ!三題 その1
皆さまのなかで、
過去に窃盗に合われた方は何人ぐらいいらっしゃるだろうか?
私は5回。
5回というのは、世間でも多いほうではないかと思う。
内訳は店(薬局)で4回、自宅で1回である。
「名付け三題」にならい、
5回をグループ分けした上で「やられたぜ!三題」として連載したいと思う。
ちなみに9月は防災月間であるが、
皆さまのお役に立つ情報ではありませんので、悪しからず。
どちらかと言うと、悪い人にはなかなか敵わないというお話です。
ところで、この5回というのは110番して現場検証をしたケースであって、
そうしなかった場合は入れてません・・・。
なお、レゴ・ミニフィグの人相と本文との関係性はありません。
その1(店内への侵入)
薬局をしていたことは前に書いた通りだが、
少し景気の良い時代には支店を出していた。
一戸建てのテナントで夜は無人であったが、
セコムやアルソックなどのセキュリティーはかけていなかった。
この支店に3回入られた。
当時この店では店の一角を仕切ってクリーニングの取次ぎをしていた。
取次ぎの仕組みは単純だ。数字は三つだけである。
- クリーニング代金=お客さまからお預かりした金額
- クリーニング屋さんに支払う代金
- 手数料(マージン)=うちの取り分
つまり①ー②=③である。
手数料を30%と決めれば、売上の30%が確実に入ってくる。
物販は仕入れリスクを伴うが、クリーニングの取次ぎに、それはない。
なかなか良い商売である。
であるが、別のリスクを伴う。これがお金に代え難かった。
結論から書くと、お客さまに預かった物(スーツやセーターなど)が、
なぜか定期的に無くなってしまうのだった。
取り次ぎの仕組みは各店舗を回って回収したものを工場できれいにしたあと、
それぞれの取次店に戻すわけだが、どこかに行ってしまうのだった。
取次店ごとにそれが分かる固有のタッグが付いているので、
そこへ戻せばよいはずなのに、
なぜか行方不明となってしまうのだ。
もちろん、タッグが取れてしまうこともあるけれど、それはたいがい解決した。
誤配というのも考えられる。
取次店ごとの固有のタッグと言っても、似たようなものもあるので、
間違って違う取次店に行ってしまうことは十分に考えられるから。
どこかに行ったはずなのに、それが戻ってこない。
誠に不思議ではあるが、事実一定の頻度で発生したのだった。
基本的に、万一の事態に備えてクリーニング屋(本部)さんは保険に入っている。
この保険をもって何かトラブルがあったとき、
たとえば縮んでしまったりとか、破れてしまったとき、
あるいはここに書いているようなことに備えるためであろう。
事故が発生すると、査定をしてお客さまに弁償してくれることになっているのだ。
しかし、この査定は全くお客さまの納得を得られるものでなかった。
お客さまから「二年前に買った○○(ブランド)のセーターです」とか、
聞き取りをするのだが、査定ではいつも驚くほどの金額にしかならなかった。
とてもその金額では申し訳ないので、買った当時の金額を全額支払っていた。
それで収まればまだ良いのだが、
「あのスーツは新婚旅行のハワイで買ったもので、
同じものでなければ困る」などど言われると、
こちらも本当に困ってしまった。
絶対にハワイで買ったとは思えないものであっても、
そういわれればどうしようもない。
本部の対応も限界があるので、結局は店で対応するしかない。
クリーニングの取り次ぎはあくまでサイドビジネスであって、
そこでトラブルを抱えてしまうと本業に響いてしまう。
結局取次ぎチェーンを変えたりしたけれど、本質的には変らなかったので、
最後は取次ぎをやめてしまった。
今はもっとシステマティックになっているのだろうから、
このような事故は少なくなっているのかもしれない。
前振りが長くなってしまったが、そのクリーニングの売り上げを
店のレジとは別にクリーニングのカウンターの下の小さなダンボールに入れておいた。
それを、持っていかれたのだった。
店のレジは万一賊に入られた時のために
札だけ抜いていつも開けっ放しにしておいた。
レジを壊されると結構な修理代がかかるし、
腹いせに店に火でもつけられたら目も当てられない。
小銭はどうぞという感じである。
賊はレジのお金には手を付けず、クリーニングのお金だけを持ち去ったのだった。
物色したような形跡はなく、
そこにお金があることを知っていたかのようであったため、
しばらくはお客さんを見る目に疑いを込めざるを得なかった。
この後、二回入られた。
敢えて手口は書かないが、最初に入られた後には対策を講じたのは言うまでもない。
それでもやられて、さらに対策を講じたが、やっぱり入られた。
三度目など、何一つ持っていかなかったし、手口も鮮やかだったため、
今度のドロボーはなかなか良い人だったと妙に感心したものだ。
(実は鮮やかに入ってくれないとその後の修理代が大変なのです)
最初に相応のお金があったので、その後の二回も同じ賊ではないかと想像するが、
その後「捕まりました」との連絡はなかったので、本当のことはわからない。
三度入られて学んだことは一つ。
これは現場検証の時に刑事さんに言われた言葉だ。
「まあ入ろうと思えば、入りますね」
そうなんだそうです。これでは身もふたもない・・・。