東京まで77.7マイル

思いつくこと、思い出すこと、思いあぐねていること。それから時どきワイヤーワーク。

ハンドメイドを完全コピー!そこまでやりますか?

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ブログの背景があっちこっちに飛んで、わかりにくいかと思います。

ですので、簡単な図を作ってみました。

職の沿革表です。参考にしてください。

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今回は、作家(自)時代と作家(職)時代にまたがる話です。

 

当時、あるブライダル関係のイベントに出展したことがありました。

結婚式に関連する、さまざまなジャンルの商品やサービスが対象となるイベントで、

ウェディングドレス、カトラリー、式場の什器など、

200近いメーカーが出展していました。

要は商談会ですね。

 

日本中から商材を求めて企業のバイヤーや個人が買い付けに来るのですが、

出展料さえ払えば名のあるメーカーに混じって、

法人でもない田舎の工房でもブースを構えることができるのでした。

 

トレード・ショーとも呼ばれていて、

最大規模のものは「東京・インターナショナル・ギフト・ショー」です。

来場者は、4日間で30万を超えるようです。

 

とにかく出展料は中々ですが、

自分で日本中を営業することを考えれば、

この方が効率的なのですね。

 

その場で商談が成り立つ場合はともかく、

頂いた名刺に後日カタログを送ったりして

購入につなげたりするわけです。

 

元々、Wired(私が立ち上げたクラフトのブランドです)は、

ガーデン系の作品づくりでスタートしたので、

フラワーショップや雑貨屋さんをターゲットにしていましたが、

ブライダルマーケットにも需要があるのではないかと考え出展したのでした。

 

出展に際しては、新作を中心に何十かのアイテムを揃えてお客さまを待つのですが、

聞いたこともないブランドなので残念ながらなかなか相手にしてもらえません。

 

当然出展料の回収などほとんど望めませんが、

ブランドの認知のためには必要な投資と割り切る他ほかありません。

 

そんなとき、ある年配の男性が、ある商品に対して細かい質問をしてきました。

名刺にある社名を見る限り、ブライダルとの接点は全く分からなかったのですが、

とにかく社長さんです。

所在地が隣の県だったので、親近感を覚えましたし

「にいちゃん(すでに40を越えていましたが、若く見られたようです)、

 いいもの作ってるね」の一言で、

いい気になってしまった私は、細かなことまで丁寧に説明したのでした。

 

「ほう~」などと言いながら、最後に

「写真を撮っても良いかと」聞いてきました。

 

このような商談会(トレード・ショー)では原則的に撮影は禁止です。

理由は、出展者及び主催者の権利保護ですが、

わざわざ断ってきたというのは、それを知っての上で聞いてきたということです。

 

そっと撮ってくださいと了解すると、

角度を変え、何枚かをカメラに収めたのですが、

結局、発注はしてくれませんでした。

 

翌年、私は企業お抱えの作家(デザイナー)として、

あるガーデンフェアの商談会に出かけました。

出展ではなく、仕入れと市場調査のためでした。

 

端から見て回っていたのですが、

少し先を行っていた会社の上司が興奮して戻ってきました。

「ぱくられてるぞ!」

いきなりで、何のことやらぽかんとしていると、

手に持ったカタログのページをぺらぺらとめくってあるところを指しました。

そこには、なんと以前私が作ったものとほぼ同じものが掲載されていたのでした。

そこは、あの社長さんの会社が出展していたブースで、

以前写真に撮られたものが、あろうことかその会社の商品になっていたのです。

長い商品番号が付いていました。

 

「文句いってきたほうがいいんじゃない」という上司をなだめ、

なにくわぬ顔でそのブースで、その商品に対面しました。

 

そっくりさんでした。見事です。

 

社長さんは私の顔をみても、思い出す風でもありません。

というか、たとえ思い出しても顔には出さないでしょう。

諸々考えても太刀打ちできる相手とは思えませんでした。

撮影を許した私の過失でもあります。

 

正直、本家Wiredの「その作品」は、結局いくつも売れなかったので、

怒りはあまり起きませんでしたが、それにしても凄い世界だと思い知らされました。

 

その後、その「そっくりさん商品」がいくつ売れたのかはわかりません。

 

ハンドメイド作家を目指している皆さま。

ローテクの極みのようなクラフトの世界であっても、

こんな嘘みたいなことが実際にあったということを、

どこか心に留めておいてください。

色々な人がいるのですよ・・・。

 

最後に、そのときの作品です。

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高さは約40センチ。

トップには寄せ植え用に3号鉢が1つ。

中段と下段には12個の極小ポットで、

お客様の持ち帰り用です。中身は多肉。

「円卓の中央に置いてください」という提案でした。

 

それでは、また。