嫌な奴(S)
ふと思いついたなにげない思いつきが、
何かとてつもなくいいことに思えて、
それなら「こんなことも考えられないか?」と、
さらに新しいアイデアが足されながら、
自分の中で勝手に盛り上がる。
滅多にないけれど、そんなときがある。
脳が猛烈に働きだして、活性化している感じ。
「ブレインストーミング」は苦手なはずだけど、
それをひとりでワクワクしながらやっているような感覚。
普段は「思いついたこと」を否定する厄介な自分が現れて、
なんだかんだとケチをつけながら、自分を打ちのめす。
最初に思いついたのも自分なのに、
それを別の自分が疑問の形を取りながら、
巧妙に否定して、
「すごい思いつき」と思っていたことは、
あっという間に、
「つまらない思いつき」に成り下がるのだ。
全く嫌な奴で可愛げがないけど、
これも自分なので文句の言いようがない。
考えることは好きだけど、
この厄介な自分が登場すると、
いつだってろくな結論にしかならない。
普段はこんな感じだけど、
考えていること自体が楽しいときも、
たまにはあるのだ。
ほんとうに時どきで、一瞬のことだけど、
その瞬間はとても気持ちがいい。