レビュー(L)
数日前、東京に住む妹から
「◯◯さんが新しい本を出したので、
立ち読みして良かったら買ってください」と、
短いメールがきた。
◯◯さんとは妹の旦那で、私の義弟になる。
本職は新聞記者(編集委員)だけど、
本も何冊か出している。
「はいよ」とメールを返して妹を安心させ、
そうだ!と、アマゾンをチェックしてみたら、
さすがというか、もう新着本で紹介されていた。
レビューは、まだない。
暇なので一緒のページに紹介されていた、
過去に出した本の中から、
本人は、こういうのチェックするのかなと思いながら、
なんとなくレビューを読んでみた。
何より商品のレビューと違って、
やたらと長文ばかりで読みごたえがある。
ちょこっと書いたものなどひとつもなかった。
ところで、アマゾンのレビューは、
誰が書こうが、どんなことを書こうが、
それがみんな公開されてしまうのだろうか。
褒めたものもあれば、辛辣なものまでいろいろある。
ここでも読者は王様なのだ。
このレビューが購買動機に影響するのだろうから、
作家というのも大変だなと思う。
書店に並ぶ本の紹介POPに、
匿名のレビューがついて売られることは、
多分あり得ないだろうに…。
妹には「はいよ」と言ったけど、
まあそのうちにと思っていたら、
今度は書いた本人からメールが来た。
「◯◯から聞いてるかもしれませんが、
新しい本を出したので・・・」ときた。
◯◯は妹の名前だ。
「もちろん聞いてます・・・」
みたいなやり取りを数回していたら、
面倒になったようで、
今度は電話がかかってきた。
今までに何冊も出しているけど、
こんなことは初めてだし、
「良かったら・・・」の先に、
「良かったら、何冊か・・・」
というニュアンスを感じたので、
「何冊か買って、配りますよ」
と太っ腹なところを見せてみた。
本人が営業するなんて、びっくりしたので。
そこでアマゾンのことを思い出し、
新着で紹介してあったことを話して、
「書店で買うのと、アマゾンで買うのは
どっちがいいの?」と聞いてみた。
「書店で買う場合は、
影響力のあるところがいいんですが、
お兄さんのとこは田舎なんで、
アマゾンの方がいいです」
なんか悔しかったので、
「紀伊◯屋があるから、そこはどう?」
と食い下がってみたけど、
「やっぱ、東京の紀伊◯屋と、
地方の紀伊◯屋では影響力が違うんで、
アマゾンで買ってもらえれば…」
・・・だそうです。
アマゾンの影響力、恐るべし。
「わかりました。アマゾンで何冊か買います」
「お願いします」
「はいはい、わかりました」
「ついでに、レビューもお願いします!」
「・・・・・・」
しょっちゅう来るアマゾンからのメール、
『お客様のお買い物傾向や閲覧履歴にもとづく
おすすめ商品をお知らせします!』
『〇〇のレビュワーとして、
このお客様の質問にお答えいただけますか?』
レビューのデビューなんかしたら、
アマゾンから、さらなるメールが入るのだろうか。
まさか、こんなオチになるなんて…。
それにしても、本屋さんごめんなさい。
それでは、また。