後輩(S)
11月の末にやったばかりだというのに、
また「偲ぶ会」の連絡がきた。
病んでいた後輩の命が尽きたのだ。
ひとりを送ってから、
まだ半年も経っていないのだから、
ふたりが続けて逝ってしまったように感じる。
ふたりは同級で、仲も良かった。
先に逝った彼が、
「早く来いよ」と呼んだのかもしれない。
糖尿が悪化し、やせ細った彼。
昔の面影はなく、最近は別人のようだった。
このところ入退院を繰り返していたし、
彼に残された時間があまりないことは、
みんな知っていた。
それでも、知らされれば、
何とも言いようがなく寂しい。
「やっぱりだめだったか」と、
静かに受け止め止めるしかないけれど、
そうだとしても、後輩が先に逝くのは
やっぱり、なんとも言いようがない。
「お前ら順番が違うだろう」って。
ふたりとは一緒にラグビーで泥まみれになって、
バンドでも一緒にステージに上がった。
彼は、家業を継いで大工だった。
そんな彼が自宅の仕事場で、
右手の指を3本落としてしまったのだ。
使い慣れた丸ノコだったはずなのに・・・。
木屑の中からそれを拾って病院に急いだけれど、
結局ついたのは1本だった。
それでもその傷が癒えた後は、
テーピングをぐるぐる巻いてグラウンドに立った。
アルペジオが出来なくなったと言いながら、
バンドでのギターも続けた。
やんちゃだったけど、
先輩思いで本当にいいやつだった。
またひとつ大切な想い出が、
額縁の中に入ってしまった。
合掌