昭和100年(L)
古い話で恐縮だけど、2013年の6月、
「第38回アメリカ最新小売業態視察ツアー」に、
行かせてもらった。
ツアーの目的は
「様々な小売業やショッピングセンター類型の比較を通して、
アメリカ流通業の真髄を理解する」というもの。
流通業の常識としてアメリカで起きたことは、
やがて必ず日本でも起きるということなので、
それを学んで来なさいということだった。
当時、ある事業部を預かることになり、
他部門からもう1人選ばれ2人で参加した。
2000年以降、世界5大流通外資が相次いで日本に参入し、
多くの専門家が国内市場を席巻するだろうと予想していた。
彼らは圧倒的なバイイング・パワーを持っていて、
喧嘩にならないと思われていたのだ。
ところが結局どこも大苦戦し、
残ったのは「コストコ」だけ。
あとはみんな撤退してしまった。
理由は色々考えられるけど、
要は日本の大衆消費者に受け入れられなかったということ。
欧米とは買い物に対する価値観や動機、
つまり文化が大きく異なっていて、
彼らが絶対的な価値を置く「安さ」が、
それを超えられなかったということになるのだろう。
当時から「日本市場は世界一高度で難しい」と言われていて、
図らずもそれを証明してしまったのだ。
視察ツアーの報告書(社内)の最後は、
①ネットVSリアルの戦いが本格化
②今後の成長株はEコマース、CVS、均一価格のダラーストア
③近隣商圏対応小型SCの増加
と、まとめた。
そう書いてはみたものの、
商品を手に取らずに購入するなんて、
正直、自分には想像もできなかったし、
そもそもネットで買い物をしている人は、
当時の自分の周りではそう多くはいなかった。
改めて現状を見てみると、
流れは予想をはるかに超え、アマゾンの勢いは凄まじい。
報告書ではアマゾンの台頭に対して、
リアル店舗の対抗策の行方をいくつかあげたけど、
ショールーミング(*)に対する有効な手は、
現在も見いだせていないように感じる。
(*:リアル店舗で品定めをして価格をチェックし、
より安価に売っているオンラインサイトで購入すること)
当時(2012年データ)の全米小売業売上高ランキングと
2018年のそれを比較すると、アマゾンの凄さが数字でわかる。
最初が2012年、次が2018年。単位は10億ドル。
平成最後の10年足らずで、
消費者の購買行動は大きく変化した。
私もいつの間にやらアマゾンのプライム会員になっている。
そして令和の時代はどんな変化を見せるのだろうか。
そんなことを考えながら、ふと思いついた。
明治元年からちょうど100年となる1968年に
政府主催の「明治百年記念式典」が行われた。
令和の時代がどのくらい続くのかわからないけど、
もう少し生きて「昭和100年祭」を
元気で見られたらいいなと・・・。
やっぱり昭和生まれは、
いつまでたっても昭和から抜けられないのかもしれない。
それでは、また。
後記:研修後は報告会が開かれ社内プレゼンをするのですが、
このツアーに関しては、その機会がありませんでした。
デスク整理をしていた先日、その報告書を発見し、
不憫に思えて来たので、その一部を記事にしました。
面白みのない話でしたが、
最後までお付き合いくださいまして、
ありがとうございます。