東京まで77.7マイル

思いつくこと、思い出すこと、思いあぐねていること。それから時どきワイヤーワーク。

蜻蛉(SS)

今夜の天気はどうだろうかと、

勝手口から外へ出てみたら

ドアの横にある鉢植えのオリーブに

小さな蜻蛉(とんぼ)がとまっていた。

風に揺られながらも眠っているのだろうか、

暗闇に突然点いた灯に照らされたというのに、

びくともしない。

 

そういえば去年の今頃、

夜半に「土砂災害警報」が出た日だった。

雨の様子を見るため玄関から出てみると、

雨のかからないところにあるオリーブの木で、

三匹の小蜻蛉が羽根を休めていた。

ブログを始めて間もない頃で、

慌てて撮影した後、部屋に戻って記事にした。

 

あれからもう一年経ったんだと思いながら、

夜風に当たりながらしばらく眺めていたけれど、

一匹でいる蜻蛉はちょっと寂しそうで、

透けてほとんど見えない羽根が、

なんだか儚く、愛おしく思えた。

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それでは、また。