蜻蛉(SS)
今夜の天気はどうだろうかと、
勝手口から外へ出てみたら
ドアの横にある鉢植えのオリーブに
小さな蜻蛉(とんぼ)がとまっていた。
風に揺られながらも眠っているのだろうか、
暗闇に突然点いた灯に照らされたというのに、
びくともしない。
そういえば去年の今頃、
夜半に「土砂災害警報」が出た日だった。
雨の様子を見るため玄関から出てみると、
雨のかからないところにあるオリーブの木で、
三匹の小蜻蛉が羽根を休めていた。
ブログを始めて間もない頃で、
慌てて撮影した後、部屋に戻って記事にした。
あれからもう一年経ったんだと思いながら、
夜風に当たりながらしばらく眺めていたけれど、
一匹でいる蜻蛉はちょっと寂しそうで、
透けてほとんど見えない羽根が、
なんだか儚く、愛おしく思えた。
それでは、また。