桜の木に教えてもらったこと(M)
いつものように朝のラッシュにはまって、
なんの脈絡もなく家から会社までの間に、
一体何本の桜(の木)があるだろうかという、
どうでもいいようなことを思いついた。
そういえば、出がけに震えながら車に乗り込んだとき、
「この寒さじゃ桜も大変だなぁ」と、
思ったような気もする…。
そんな気もするけれど、
「ケータイデンワヲ ワスレテ イマセンカ?」という、
エンジンを掛けた後に必ず喋り出す、
お節介なカーナビの機械的な声に注意を取られ、
桜への意識はどっかに行ったはずだった。
なのに、無意識にもしぶとく残っていたのだろう。
そもそも、ここ何年もの間、
改めて花見に行くこともなく、
車窓から見るともなく、なんとなく眺めて、
花見はそれでおしまいということを繰り返してきた。
見頃に多少の前後はあるにせよ、
キレイに咲いて、見事に散る。
「毎年それの繰り返し」というくらいで、
それ以上でもそれ以下でもなかったのに、
この桜への関心の高まりは、どうしたものか。
たぶん、色々な方のブログの中にアップされている、
見事な桜の咲きざまがどこかに残っていて、
その意識がなんとなく桜に向かわせたのだろうか。
とにかく「何本だろう?」と思ったので、
さっそく数え始めた。
「い~ち・・・・、に~い・・・・」
一般の個人住宅で、
桜を植えているところはあまりないようだ。
「さ~ん・・・」
国道に面した交差点を赤信号で止まったところで、
カウントはまだ3。
桜は大木が多いので、
割と手前から容易に見つけることができる。
このペースでいけば楽勝だ。
そして青信号になる前に、
一気に集中モードのレベルを引き上げる。
渡ればその先は大学病院で、
道路沿いは見事な桜並木である。
ここを数え切れば、ゴールは近い。
青信号に変わって走り出すと同時に
「・・・4・5・ろ〜あれっ・7・あれっ・・あ~あ~」
あっけなく試合終了。
己の動体視力のなさを、
朝から桜の木に教えてもらった。
季節はずれの雪で視界が悪かったなんて、
口が裂けても言わない…。
まあこんな日もあるよね。
それでは、また。