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思いつくこと、思い出すこと、思いあぐねていること。それから時どきワイヤーワーク。

針金細工教室「ワイヤーワークの基礎 その2」

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ペンチは用意できたでしょうか?

 

おさらいですが、ここで言うペンチとはラジオペンチです。大丈夫ですよね!

 

さっそく次のステップに行きたいのですが、

前回書き残したことがありましたので、書き足します。

 

データによれば日本人の左利き率は約11%です。

約10人にひとりが左利きということですね。

これを読んでくださっている方の中にも、左利きの方が当然いらっしゃるはずです。

この講座(?)では

「ペンチなんて使ったこともない」という人を対象にてしいるので、

気がついたことは細かなことでもなるべく書いておきたいと思っています。

ですので、ときどき回り道をしますが、ご容赦ください。

 

さて、左利きのはなしです。

 

道具によっては、左利き専用のものがあるのはご存知だと思います。

たとえば文房具のハサミには左利き用があります。

左利きの人が普通のハサミを使った場合、

切っているところが良く見えなくて不便なのですね。

あなたが右利きだとして、ためしに左手に持ったハサミで紙を切ってみてください。

どこを切っているのかよくわかりませんよね。

ちなみに左利き用のハサミは、刃の合わせを逆にしてあるそうです。

 

さて、おおざっぱに言えばハサミもペンチも同じような構造です。

 

ということで、Q&A。

 Q: 私は左利きですが、左利き用のペンチはありますか?

 A: 私が知る限り、ありません。

 

残念ながら、左利き用のペンチはないようです。

ペンチを仕事の道具として毎日使っている人の中にも、

左利きの方は大勢おられるはずですが、

左利き用ペンチが見当たらないということは、

スタンダードなペンチで特に問題ないということなのでしょう。

 

ですので、左利きのあなた。

ペンチは何でも大丈夫です。右利きも左利きも関係ないということです。

ちなみに、ニッパーという「切ることに特化した工具」には左利き用が出ています。

 

では先に進みます。

 

ペンチについてです。

ペンチで何ができるかというと、「切る」ことと「つかむ」ことのふたつです。

さらに、つかみながら「曲げる」「ひっぱる」「ねじる」ことなどができます。

さらにさらに「たたく」ことや「刺す」こともできますが、

道具を傷めますのでやらないほうがいいでしょう。

 

ではそれぞれについて、簡単に説明します。

 

◆「切る」こと

ワイヤーは、いろいろな素材があると、「基礎 その1」に書きましたが、

長さ太さに関わらず真っ直ぐな状態では販売されていません。

基本的にグルグルとまるめてあるのが普通です。

鉄のワイヤーはむき出しのままですが、

その他のワイヤーはビニール(袋)に入っていることが多いようです。

 

余談ですが、ギターやベースの弦も丸めて袋に入っています。

ベースの弦は単線ではないのですが、単線を縒った状態のものを丸めてあります。

ワイヤーも弦も商品のパッケージは同じようなものです。

ワイヤーの長さはいろいろですが、伸ばせば基本、1本の線です。

 

少し前のことです。

たまたまTVで針金王(正確な名称は失念)みたいなものをやっていました。

番組終了間近で、勝ち残ったふたりが最終課題に挑戦していたのですが、

一人の方は1本の針金を一筆書きのように、

そのまま切らずに作品を作り上げるのを得意とされていました。

 

よくあるワイヤーワークの初級講座に、自分の名前(何でもよい)を

ローマ字の筆記体でつくるというのがあります。

基本的には一筆書きです。

私が教室をしていたときにも、カリキュラムに入れていました。

TVで作品を仕上げていた方のレベルは、

そういった一筆書きとは次元の違うもので、素晴らしかったです。

 

普通は、あるものを作るためには切ったパーツをつなげていくことになるので、

もとのグルグル巻きの状態からパチンパチンと必要な長さにワイヤーを切るものです。

ですので、ペンチの持っている「切る」機能は必要です。

 

◆「つかむ」こと

ペンチの先の内側を見てみましょう。

線(溝)が刻んであると思います。

これは、モノをつかんだときに滑らないようにするためです。

刻み方(深さと幅)はいろいろです。

滑らないのはいいのですが、

チカラの入れ方によっては、つかんだモノに傷が付きます。

普通はワイヤーよりペンチのほうが固いので、

グリグルつかめば当然ワイヤーの方に傷がつきますので、気をつけましょう。

 

◆次の「曲げる」「ひっぱる」「ねじる」ことですが、

これらはみな「つかむ」ことの延長にあり、つかみながら曲げる、

つかみながらひっぱる、つかみながらねじるということです。

ペンチワークとはこれらの機能を組み合わせることですね

 

最後はペンチの持ち方です。

実はハサミと同じように持っては使えません。

柄の部分の形状が違うので、持ち方を誤ると開閉が片手ではできないのです。

(注:開閉バネがないタイプのことです。)

基本は一方の柄に親指をかけ、残りの四本の指のうち、

小指または小指と薬指を柄と柄の間に置く感じです。

文書ではまどろっこしいので、画像で確認してください。

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とにかく全部の指をガバッと柄にかけては使えないので、

どの持ち方が自分に合っているのかを試しながら見つけてください。

 

ちなみに、私は小指だけを中に入れています。

写真では一番上の握り方です。

その癖がついてるせいか、開閉バネが付いたペンチを握っても、

握り方は一緒です。

 

画像は写真を撮る都合上、左手にペンチを持っているので、

ぎごちない感じですが、ご容赦ください。

また、柄の先を持ったほうが先端に強い力が加わります。

テコの原理ですね。

 

最後は手袋です。

針金の切り口は鉄であろうとアルミであろうとそのままでは鋭利ですので、

下手に触ると怪我をすることもあります。

手袋をすれば大丈夫ですが、先端がきちんと丸くなっていて、指にフィットし、

滑らない素材でできているものが良いでしょう。

身近にあるからといって、軍手などでは細やかな作業は難しいものです。

厚みはさほどなくても大丈夫です。

 

以上、なんとなくイメージ出来たでしょうか?

今回はペンチの基本機能等でした。

 

次回はワイヤーワークの基本技術について書きたいと思います。

ではまた。