「いつかそのうちに」と思っていたことが半分かなった話
いつかそのうちにと思っていることがある。
正確には、いくつもあったはずだったと言ったほうがいいのかもしれない。
なぜかと言うと、いつかそのうちにと思っていても、
そのほとんどは何の事だったか忘れてしまったからだ。
いつかそのうちにと思いついたり考えたりした時点で「To Doリスト」に書き込み、
毎日寝る前にそれを唱えたりする人がいる。
「人生の夢をかなえるたった100の習慣」
みたいな自己啓発本にはよく書かれているし、
口に出して言うことでその実現率が飛躍的に高まることも実証されているようだ。
知ってるならやればいいじゃないですか?と突っ込みが入りそうだが、
私は筋金入りの甘ちゃんなので、そういうことはしないのだ。
思い付きの速さと思い込みの強さはあるが、肝心の実行力がない。
話が脱線してしまったので本題に戻します。
2年前ぐらいだったと思う。
デスクワークをしていたら、とある社員が私のデスクに来て、
あたりをはばかるように「ちょっといいですか」と小さな声で言った。
彼は高校の後輩である。
小さな声というのは、わざわざ声を落としているのが明白だったからだ。
なんといっても彼は応援団出身で本来は声がデカイのだ。
部署が違うので、普段は滅多に話すこともない。
さらに「向こうに行って話しましょう」と言い出すので、
何のことやらわからずデスクを離れ、誰もいないフリースペースに移動した。
座ると、一冊の小冊子の最後のページを広げたのだが、
それは地元企業が発行しているフリーペーパーであった。
私もよく見るのでますます何のことやらと思っていたら、彼が一点を指差したので
その先を見て一瞬
「ん・*・■・△・?」となった。
なんと編集後記のスタッフ名が書いてあるその中に、私の名前があったのだ。
彼は私がバイトで寄稿していると思ったらしく、
会社にバレるとまずいことになるかもしれないと考えたのだった。
ペンネームを使ったらいいと言いたかったのかもしれない。
先輩思いなのだ。
結論から言うと、編集後記の人物は同姓同名者であった。
自分の名前を想定していない場所で目の当たりにすると
結構びっくりするものだ。
今までも名前の読みが同じ人はいたけれど、4文字一致は初めてだ。
とにかく「俺じゃないよ」と言い、笑って席に戻った。
あれから2年。
昨日、ある資料を弊社に届けるために来社した方に、お会いした。
本来の担当が外出していたので、同じ部署の私が代わりに対応したのだが、
名刺を拝見したら例のフリーペーパーを発行されている会社だった。
新聞社のグループ企業として、自社媒体だけでなくプロモーションのプロとして
幅広い事業領域で実績のある会社である。
黙って受け取れば用は済むのだが、
ここぞとばかり改めてお渡しした私の名刺の名前のあたりを指差し、
「御社に私と同じ名前の方がいらっしゃると思うのですが・・・」
と話を向けると、彼女もビックリ!
調子に乗って「彼によろしくお伝えください」とお願いしたら、
なんと今日、ご本人の写真がメールで送られてきた。
そこには、彼女が言っていた通りのキラキラした彼が写っていた。
「いつかそのうちに」の半分が実現した瞬間である。
実際の彼にお会いするのは、多分2年後くらいのような気がする。
「いつかそのうちに」の実現まで4年かかることになるけれど、
なんだか今から楽しみである。