東京まで77.7マイル

思いつくこと、思い出すこと、思いあぐねていること。それから時どきワイヤーワーク。

大阪の夜

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1度だけ、大阪に泊まったことがある。

なので、このタイトルで書けるのは今回だけかもしれない。

仕事を終えた後、同僚と居酒屋で飲み、ビジネスホテルに帰る途中での話。

 

まだ行き交う人が大勢いる道を並んで歩いていると、

後ろのほうから「チャリン・チャリン」と自転車が近づいてくる音がした。

道を開けるようにすると、その横を二人乗りした若いカップルが通り過ぎていった。

 

少し歩くと道をふさぐように人だかりができている。

15人ぐらい、いただろうか。

 

近づいて中を覗き込むと、中心に先ほどの若いカップルが並んで正座をしていた。

いわゆる土下さの状態である。

そして、その正面には中腰のおじちゃんがいて、

なんだか説教しているようだった。

緊迫しているような状況にも見えるのだが、

不思議と空気に鋭さは感じられなかった。

 

アスファルトに正座している二人は、

下を向いたままどちらともなく「すいません」と繰り返していた。

何が「すいません」なのかはわからないけど、

どうみても自転車がぶつかったようではなさそうだった。

何度か「すいません」を聞いたあと、

おじちゃんが言った台詞がすごかった。

 

「だから、なにがチャリン・チャリンやねん」

 

これだけ。

 

すると、また二人は

「すいません」を繰り返し、

おじちゃんんは

「だから、なにがチャリン・チャリンやねん」と返していく。

どうやらこれを三人でずっと繰り返しているようだった。

 

おじちゃんは何も要求していないが、二人が立ち去ることを許さない。

こんくらべのような状況である。

 

見ている人たちも乱暴な展開にならないことを承知しているかのようで、

楽しんでいるようにもみえる。

二人には悪いが、まさにマンガか漫才を見ているようだった。

関東だったら決してこんな展開にはならないだろう。

 

次の日の朝が早かったのでオチを見届けられなかったが、

酔ってた勢いもあって、ホテルに着くまで二人で声がかれるまで言い続けた。

「だから、なにがチャリン・チャリンやねん」・・・

 

いつかまた、大阪に行ってみたくなった。

 

追記

私のつたない記事を読んでくださっている方々の中にも、

今回の「平成30年7月豪雨」で、被害に遭われた方がおられます。

一日も早く復旧がかないますよう、心よりお祈り申し上げます。