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思いつくこと、思い出すこと、思いあぐねていること。それから時どきワイヤーワーク。

歯医者さんに行こう(LL)

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例によって、職の沿革表です。

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今回は薬局時代(自営)の頃のお話です。

 

最初の子どもが生まれたころの話です。

30代の始めでした。

 

育児本だか何だかの本に、

子どもが生まれる前に、

親の虫歯を治しておきましょうという記事がありました。

その理由は忘れましたが、とにかく

「そうなんだ」と思って歯医者に行くことにしました。

 

予防歯科の考え方は以前からあったと思いますが、

なんでもないときに進んで行きたいところではないので、

たいがいは症状が悪化してから行くのが常です。

そのときも思い当たるところがあって、

たぶん重い腰をあげて行ったのだと思います。

 

私は他の人を羨むことをあまりしないタイプなのですが、

ひとつだけあげれば歯が丈夫な人を羨ましく思います。

「未だかつて歯医者に行ったことがない」と言う人がいますが、

心から羨ましいと思います。

そういう人に限って、ろくに歯も磨かなかったりするようで、

これは持って生まれたモノの違いなのでしょう。

30前の記憶はあまりないのですが、

過ぎてからは、未だに歯医者通いを続けているので、

行かなくて済んでいる人は本当に羨ましいのです。

 

話を戻します。

行くことにしたというのは、当時の係りつけではない、

新しい歯医者さんに行こうと決めたからでした。

その歯医者さんは店(薬局)から数分で行けるところに

新たに開設された医院でした。

この医院は、当時まだ珍しかった2×4建築で、

最初はレストランでも出来るのかと思ったぐらい

お洒落な外観を持っていました。

 

今でこそ郊外に新たにできる歯科医院は、

その外観を競うような建物ばかりですが、

当時はまだお洒落な外観というのは珍しかったのです。

現在、歯科医院数は日本中のコンビニの店舗数を上回っていますので、

新規の開設では外観も重要な要素なのだと思われます。

当時の係りつけに問題があったわけではないのですが、

「近いし、お洒落だし」と、この医院に行くことを決めたのでした。

 

どこの病院でも初診の場合、問診票を書きます。

歯医者さんの場合は

・歯について:いかがされましたか?

・健康状態について::治療中の病気はありますか?

・お薬について:アレルギーはありますか?

・医院への要望など

だいたい、こんな項目でしょうかか。

 

ところが、このお洒落な歯医者さんは違いました。

渡された問診票で答えるのは、たったひとつだけでした。

こんなシンプルな問診票は、

その後いろいろな科目の病院にお世話になりましたが、

未だにお目にかかったことはありません。

 

三択でした。

1 どんなにお金がかかっても、最高の治療をしてほしい。

2 保険で治療したい。

3 先生と相談して決めたい。

書かれているのはこれだけです。

 

要は、お金を出さないとチャンとした治療はしませんと言っているのです。

 

今なら、この問診票を渡されたら用事を思い出した振りをしながら、

恐れをなして受付をしないで帰るかも知れません。

「すごい問診票だ」と思いながら、当時は少し余裕があったので、

かろうじて3にチェックを入れて待ちました。

出来たばかりのせいか、待合所は私ひとりでした。

待合所からは、治療室の一部が見えるのですが、

新しいとは言え、まあ普通の機器に思えました。

 

程なくして名前を呼ばれたので、治療室に行くのかと思いきや、

受付の横にあるドアが開き、別の部屋に案内されました。

道路に面した一般の治療室の背後に、

実はもうひとつの治療室があったのです。

特別治療室とでもいうのでしょうか。

機器もベッドも、表の治療室とはグレードが違います。

私は先生と相談する間もなく、本人の同意もあやふやなまま、

カテゴリー1に分類されたのでした。

 

治療の方針は明確でした。

「バンバン削って、自由診療のセラミックを被せる」

「抜けそうな歯は抜いてしまう」

普通の歯医者さんでは、

1本の虫歯の治療に数カ月かかったりするのは当たり前ですが、

ここの特別室では予約の必要もなく、

数回の通院で1本を仕上げてしまうのでした。

今考えると、芸能人や政治家などには向いているのかもしれません。

 

あるとき奥歯を3連セラミックにしたのですが、

入れて直ぐ、ラグビーの試合で欠けてしまいました。

翌日、医院に行くと「永久保障ですから大丈夫です」といって、

新しいものを作ってくれました。

追加料金はかかりません。

少しして、またこれが割れてしまったのですが、

直ぐに新たなものを作ってくれました。

同じく無料です。

結局これもすぐに割れて「実はセラミックは衝撃に弱いのですよ」となり、

銀をかぶせることになりました。

「はあ~?」です。

 

流石に「このお医者さん藪(ヤブ)じゃない?」と気が付き、

通うのをやめました。

この病院で、小さな車が1台買えるくらい使いましたが、

未だに歯医者通いをしているのは、

この時「ガンガン削ったり、残せるのに抜いてしまった」

せいなのかもしれないと、少し悔やんでいます。

 

歯は大事です。

みなさん、良い歯医者さんを選んでください。

 

ちなみにこの歯医者さんは、

開院してから10年もしないで突如閉まってしまいました。

理由はわかりません。

 

それでは、また。