犬恋しい(S)
最初のワン子がうちに来てから一年後のこと。
一匹での留守番は寂しかろうと、
次の子を迎え入れた。
二匹の両親は一緒なので姉妹だった。
二匹はそれを知る由もなかったはずだけど、
本能でわかるのか、とても仲が良かった。
その後何年かして、
「二匹も三匹も一緒」だと言われ、
三匹目を迎い入れた。
血筋的には、二匹の従姉妹にあたる子だった。
三匹目が来た頃には、
先住の二匹はすでに体力のピークを過ぎていて、
初めはやんちゃな子に手を焼いていた。
年齢差があるせいか三匹で一緒に遊ぶことは
ほとんどなかったけれど、いつしか順位を学び、
それぞれがそれを自覚するようになってからは、
本当の三姉妹のようだった。
実際には、二匹と三匹では
いろいろの大変さが全く違ったけれど、
いつしかそれが当たり前になった。
二匹が年を取り、それぞれ何度かの手術を乗り越え、
さらにはそれぞれが介護を必要となってからも、
三匹は仲良しだった。
3年前、二匹は半年足らずのあいだに
相次いで逝ってしまった。
16歳と15歳だった。
一緒にいてくれたことで、どれほど救われたかと、
今でも二匹を思い出さない日は1日もない。
気がつけば、季節は進んで秋の景色に。
夢でいいから、
また一緒に遊びたい。
そして、一緒に眠りたい。